花はいつも人間のそばにあるものですから、いつから「いけばな」が発生したかを明らかにすることは難しいことですが、その基本形は仏教供花だといわれています。そして、室町時代のころには飾る花、美的に鑑賞する花として形がつくられ、その後伝承されながら発展し、一般に町民文化として盛んになったのが江戸時代だといわれています。
江戸元禄期前後の経済発展とともに江戸町民の生活が向上し、いけばなをはじめいろいろな文化が盛んになりました。そして、この頃の生活環境=床の間に合ういけばなが研究され、次第に「生花」様式としてその型が完成されていきました。床の間にいけばなを生けて美しい空間を創り上げる、という生花の様式は無駄なものを無くしシンプルな中に格調のあるもとして形づくられていきます。また生花の花型の格は「天・地・人」という宇宙の三原理を説き、形だけでなく理念的なものも追求されながら発展して行きました。
そのような中で受け継がれてきた「いけばな」はより日本的で、日本の文化として今日まで伝承されてきました。そして、またこれからも時代を超えた美しさとして受け継がれていくことと思います。
|